川越さんは、そうなずなに向かって言い放つ。

なずなは依然、あの菖蒲鬼と向き合っていて、バトルの最中。

竜堂の肉弾戦とは違って、技を繰り出し続ける戦いとなっており、さっきから爆発音ばかり生じている。



「…欲張りだね!まったく!」

「あははっ。やるからには最高の功績を残したいもんさ」

ふと思ったけど、川越さんの笑い、あの彼とキャラ被ってる。



いや、しかし。



もう一匹引っ張り出す…?

って、どういう意味?



パワーストーンの結界決壊を気にしてはいるんだな?

でも、『急ごう』ってこの場で何を急ぐ?

もう一匹引っ張り出す、こと…?



(………)



ひょっとして。

実は、目的は別にあるのか…?

…だとしたら、残念女の言う「大丈夫です」も納得がいく。



だけど、それは…何だ?




『急ぐぞ』と言われたなずな。

駆け出して、離していた距離を詰めるように、一気に相手の懐に潜り込む。

俊敏なスピードに、相手の菖蒲鬼は反応しきれていないようで、振り上げる杖の攻撃もすでに遅かった。