こっちの人達は。
だーれも、このパワーストーンを気に留めていない。
…ような、気がする。
普通…パワーストーンを護る結界がこんな状態なら、誰か一人このパワーストーンの側にいて警護しても良くない?
だって、これ壊れたらまずいんでしょ?
魔界への通り道が開いてしまう。
なのに、このパワーストーンは放置状態でみんな戦っている。
そして、黒い翼の彼をも同様、放置。
まるで、パワーストーンよりもバトルが重要、みたいな。
…それに。
このパワーストーン、起工式の時には地に埋められていたはずなのに。
何故かここにある。
それも引っ掛かるのだ。
「…お、お兄さん、どうかしましたか」
そんなことを考え込みながらパワーストーンをジッと見つめていたら、俺の背後霊のような残念女が、様子を伺ってくる。
「…お兄さんじゃなくて、橘伶士っていうんですけど」
「ああぁぁ、レイシくん」
「…このパワーストーンの結界、壊れそうですが、大丈夫ですか」
一般人のくせに、こんな込み入ったことを聞いても良いんだろうか。
残念女相手に、気が引けながらも堂々ときいてしまった。



