俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


こっちの人達は。

だーれも、このパワーストーンを気に留めていない。

…ような、気がする。



普通…パワーストーンを護る結界がこんな状態なら、誰か一人このパワーストーンの側にいて警護しても良くない?

だって、これ壊れたらまずいんでしょ?

魔界への通り道が開いてしまう。



なのに、このパワーストーンは放置状態でみんな戦っている。

そして、黒い翼の彼をも同様、放置。



まるで、パワーストーンよりもバトルが重要、みたいな。



…それに。

このパワーストーン、起工式の時には地に埋められていたはずなのに。

何故かここにある。

それも引っ掛かるのだ。



「…お、お兄さん、どうかしましたか」



そんなことを考え込みながらパワーストーンをジッと見つめていたら、俺の背後霊のような残念女が、様子を伺ってくる。



「…お兄さんじゃなくて、橘伶士っていうんですけど」

「ああぁぁ、レイシくん」

「…このパワーストーンの結界、壊れそうですが、大丈夫ですか」



一般人のくせに、こんな込み入ったことを聞いても良いんだろうか。

残念女相手に、気が引けながらも堂々ときいてしまった。