大きなモニュメントの上に飾られている、パワーストーンを下から見上げる。
その位置は、俺と残念女のいる場所、二箇所のバトルが繰り広げられている向こうのちょうど真ん中にあるのだった。
パワーストーンは結界で護られているが、その結界には黒い翼の彼が放った、カラスの羽根が突き刺さったままでいる。
だが、さっきと違うのは、カラスの羽根が発する黒いモヤの量が一段と増していて、結界内に少しずつ吹き出しつつある。
ピシピシとヒビが入る音も聞こえていてガタついてきて…素人から見てもわかる。
この結界、もう壊れる。
なのに…。
(………)
バトルの模様を今一度確認する。
だが、思うところは覆らず。
この戦い…このパワーストーンを護るための戦い、なんだよな?
なのに、向こうで一対一の格闘を繰り広げている竜堂も。
あっちで女性の菖蒲鬼を相手しているなずなも。
川越さんに至っては、蛇を侍らせながら、なずなのバトルの行方をじっと見守っていて。
黒い翼の彼も同様。…いや、この人は、自分の放った仕掛けが効を成すのを待ってるだけかもしれない。



