朱色から色を変えた、緋色のベールが更に膨れ上がって、爆発した。

拳に押されていた菖蒲鬼は、爆発と共に後方へ体をグッと反り返っている。

「くっ…演舞、『魔法陣』!」

体を堪えながらも杖を振り下ろすと、自分の体となずなの間に、魔法陣が描かれた紫色のガラスが登場した。

なずなのあの蓮華曼陀羅陣と類似の技だろうか。

それによって爆発の衝撃を防いでいる。




「な、なずちゃん…あんな大暴れして…心配ですぅ…」



俺の後ろにまだ隠れている残念な彼女…いや、竜堂の彼女は顔だけひょっこり出して、不安そうにバトルを覗いている。

と、いうか。まだ隠れてるのか。いい加減にしてほしい。

すると、ただいま戦闘真っ最中の竜堂の方から、「コラァァッ!桃李!」と、怒鳴り声が聞こえた。

「ひいぃぃっ!」

不覚にも、後ろの彼女と一緒に俺もビクッとしてしまった。



「いつまでそいつに引っ付いてるんだこのバカ!…『相殺』の準備しとけよ?!」

「わわわ、は、はいぃっ!」



…しかし。



この屋上は戦場となり、二手に分かれてバトルが繰り広げられているが。



(………)



…ちょっと、違和感がある。