「なずな。『開印』するからフォローお願い」



なずなの後ろにいる川越さん。

気付けば…彼の拳から漏れる黄金の帯のようなオーラは彼の頭上まで大きく拡がっている。



「私一人でも大丈夫だよ?」

「いやいや。ひょっとしたら、コイツらもヤツの羽根を口にしている類のような気がする。…だとしたら、『相殺』必要だろ?」

「…そうだね。でも、敵さんから感じる魔力からして、不動縛はすぐに破られそうだから正面から突っ込む」

「了解」



そして、なずなは飛び出す。

右の拳に、薄い朱色のベールを纏わせながら。



「…朱霊華!」



女性の菖蒲鬼に、真っ正面から突っ込み、その拳を奮う。

しかし、相手の手にしている金属の杖で、堂々と阻まれてしまう。

ガキーン!と激しくぶつかり合う音が響いていて、パチパチと火花の散る音がしていた。



「…ふんぬっ!」



しかし、そこは拳を引っ込めず、そのまま力押しする。

朱色のベールを纏った拳はメキメキと音を立てて、阻む杖を押し返す。

相手もなずなの拳の侵入を阻むべく杖を押し返し、力の押し合いとなっていた。