「…そんな中、その『取り引き』に成功して集まった半人半魔連中『マントラ』はとうとう動き出した。…その日を皮切りに」
「その日って…なずなの誕生日ですか」
綾小路室長はゆっくりと深く頷く。
まるで、あの時のことを思い出しているのか、苦い表情になっていた。
「…あの日の夜、橘社長となずなはとあるホテルのレストランで食事を取っていた。その後、優さんや剣軌くんも依頼が終わって合流するために、そのホテルの正面で待ち合わせすることになっていた」
…しかし、一年で一番幸せなはずの誕生日は。
一番、最悪の日となる。
「ホテルの正面に出た時、社長となずなを待っていたのは…二人ではなく、リグ・ヴェーダ」
そして、彼は二人に攻撃の刃を向ける。
抗うことの出来ないぐらいの、強大な『術』を。
「そして、ちょうど現場に到着した優さんが、その間に入った。だけど、術で対抗する間もない。そのまま盾になって攻撃を受け、二人を庇うカタチとなってしまった」
「え…?」