すると、どうだろう。
竜堂が改めて、黒い翼の彼を視界に収めて見据えると。
アクリル板がポンポンと空中に現れる。
それを辿って行くと、そこは黒い翼の彼の真っ正面だ。
…再び、彼へと続く道が。
夜空に光り輝く階段が、現れた。
「…待ちやがれ!」
宙に浮かぶアクリル板に駆け出すように、次々と飛び乗って彼へと近付くが。
竜堂の接近に、翼を動かし飛んで逃げようと、そこから離れる彼。
…あ、逃げる!
と、思われたが。
竜堂の進行方向に合わせるかのように、次々と出てくる出てくるアクリル板。
方向転換したり、距離を離したところで、すぐに竜堂が追い付き、逃がさない。
そのアクリル板を足場に駆け抜けながら。
まるで、夜空を駆け回っているかのよう。
そして、あっという間に彼の前に回り込んだ。
「…空中だからって、いつまでも逃げ回れると思うな!」
そう吠えて、入れ替えた足を踏み切って、長い右足を容赦なく振り回して、上段回し蹴りで彼を襲う。
「くっ…」
顔をかすめたようで、彼は顔を手で押さえていた。



