「…今かな?」
横でそっと呟いた川越さんは。
そっと、眼鏡を外した。
「…『大腹胸行結界』… 『珪岩』」
眼鏡を外して露わとなった瞳は、涼しくもあり…冷たそうで、不敵だ。
「…次から次へと!」
上空では、多少顔をしかめている彼が、右手に大量の黒い羽根を纏わせ、竜堂の発した光の輪をバッタバタと薙ぎ払う。
しかし、防御されても竜堂はすでに次の行動に出ていた。
空中に浮かぶ彼の麓へと、ダッシュをかける。
「…ぬおぉぉっ!」
「…何っ?!」
…いや、彼の麓へ、ではない。
全力疾走をする竜堂の前に、突如として、横に寝かせた複数のアクリル板がズラリと登場する。
…いや、アクリル板というか、石畳というか。
薄い灰色に輝く、アクリル板?
竜堂が吠えながら、勢いよく一番手前のアクリル板にバン!と足を乗せると、それを合図としたかのように、他のアクリル板は一斉に位置を変える。
水平な段となり、昇降可能な高低差をつけて宙に浮かぶ彼の元へと連なっていた。
階段…?
宙に浮かぶ彼へと続く、階段が出現した?



