俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


拳の乱打から二歩ほど後退して逃れ、彼は右手をそっと翳す。

さっきの黒い羽根攻撃を仕掛ける時の仕草に似てる。

ひょっとして、何か術で攻撃を仕掛けようと…?



「…その手は食わねえよ!…光流!」



再び、竜堂の右足が光り出す。

一歩踏み込み、上段蹴りで彼の右手首をパーン!と弾いた。



「…くっ!」

彼はやられた手首を押さえて引っ込める。

いつの間にか不気味な笑みは消え失せ、苦痛表情と…先程見せていたイライラした表情が垣間見える。




「…おっ。術式阻止したね。感心」

「………」

この川越さんとやら、二人のバトルを、まるで大晦日の格闘技のように観戦しておりますが。

おいおい。

これは命懸けの戦いということを、忘れてはならない。



「…うん、良い表情。…そろそろイライラしてきたみたい」

「イライラ…?」

「うん。次のアクションを期待してるんだけど」



次の、アクション…?



彼の不敵な笑みが、味方ながらに恐ろしくもあった。