すでに振り上げていた竜堂の右ストレートを、彼は横に躱しきれず、瞬時に黒い羽根を手元に集結させ、間一髪のタイミングでガードする。
しかし攻撃はそれで終わることはなく、竜堂は後退して少し距離を取った後、体を捻って長い右足を彼に向かって時計回りに振り回す。
「…くっ!」
黒い翼の彼の反応は半歩遅かったのか、竜堂の回し蹴りは狙ったと思われる体幹には当たらなかったもの、彼の左腕の内側を擦った。
見た目では回避したと思われたが、彼が苦痛表情を見せたあたり、ダメージにはなったんだろう。
今度は彼の方が一歩後退するが、竜堂はそこを逃さず、どんどん懐に入って攻め込む体勢だ。
左右の拳が繰り出されるワンツーが、見事に彼の顔面に炸裂。
「うぐぐっ…!」
「逃げようとすると隙出るんだぜ?…光流(ソーマ)!」
竜堂の右足が、白いオーラを放つ。
それを纏いながら、その足を振り上げた。
彼の腹部ど真ん中に炸裂と同時に、鈍い音を鳴らす。
何と、彼が真後ろに吹っ飛んでいった。



