「…けど哲太くん、よく場所がわかったね?桃李ちゃんに置いてかれたんでしょ?」



なずなの問いに、彼は涼しい顔で「ははっ」と笑う。



「夏輝の友達が教えてくれて、ここの場所はわかってたんだ。タイムロスはほぼ桃李捜索」



そう言って、彼は後ろを振り返る。

「ありがとう」と告げた相手は、屋上の出入り口からひょっこり顔を出していた…兄貴だった。

兄貴は「なんもなんも!」と、手を振った後、サッと中へと身を隠している。

恐らく、麗華さんも一緒だ。



って、兄貴が?

兄貴が、ここが戦場になっていることを、彼らに伝えたってこと?

いつの間に…!



「桃李、マイナス30点」

「…ええぇっ!て、哲太くん!」

「30点どころじゃねえ!持ち点ゼロだ!」

貴方達、持ち点制度あるんですか?



持ち点減点でやんややんやと騒いでいた、後から現れた二人と、残念キョドり系彼女だが。

ふと、眼鏡の彼が目の前を見上げる。



「…そろそろ崩れる」