語気が強まり、彼はとても怒りに満ち溢れた顔をしている。
ずっと不気味に笑っている普段の彼からは考えられないくらい、お怒りの表情だ。
こんな顔もするなんて。
恨み辛みの感情なんだろう。
彼女のその『持国天』は、彼にとっては心酔していた女性の仇だからなのか。
すると、光のカーテンからピシピシとヒビ割れの音がする。
顔を上げると…カラスの羽根が突き刺さっている部分が、ヒビ割れしてきているのがわかる。
貫かれる…?!
「…桃李ちゃん!そのまま霊力高めて!」
「はわわわ!割れる!割れちゃう!…な、なずちゃん!このままじゃっ!」
「だからって、『持国天』は絶対呼んじゃダメ!収拾つかなくなるよ!」
「ううぅぅっ!…ふんんっ!」
俺の後ろに隠れたまま、キョドり系はふんっ!と踏ん張っているが。
何故か、すぐにへなへなと体の力が抜けていて、俺の背中にドン!とぶつかっていた。
痛っ…と、思わず後ろを振り向くが。
「ああぁぁ…もう、助けて下さいよぉっ!」
彼女はそう言って、なぜか。
俺の肩をガシッと掴む。
…え?俺?
何で!



