嵐のように巻き起こる風圧と、視界を奪う強い光で顔を上げていられず。
ここ一番の衝突音で、耳がいっぱいになる。
「桃李ちゃん、大丈夫だよ!そのままっ!」
「ふぅ、ふぅ、うんっ、あわわわ…」
目の前には再びあの光の壁が現れた。
地面から天へ伸びて波打っていて、まるで光のカーテンのようだ。
しかし、そのカーテンの真ん中一部に黒いオーラがモヤモヤと蠢いている。
よく見ると、その中心には黒いカラスの羽根が突き刺さっていた。
「あわわわ、刺さった。刺さっちゃった!これ、これ、これ、時間の問題じゃないでしょうか!な、な、なずちゃぁぁんっ!」
「大丈夫、負けてない!そのままギリギリまでキープして!」
「…ひいぃぃっ!」
何だ何だ。
黒い翼の彼に、あれだけ啖呵を切っていた彼女が。
辺りを見回し、キョロキョロキョロキョロ…。
あの結界相撲が終わった途端、急にキョドり出して非常に残念な彼女に戻ってしまった?
「あぁ…集中切れちゃったか」
なずなはそう呟いて、ガクッと俯いてしまった。



