「………」
そして、何故か。
彼女は口を尖らせて、「むむむ…」と物凄く気まずそうな顔をしていた。
だが、相手を完全撃破したわけではない。
ヤツは戦意を失っているどころか、しっかりと立ち上がっていて、殺意の眼差しを向けていた。
「…こんなんで、勝とうだなんて思わないでくれる?」
そして、彼の手にはいつの間にか。
あの大きめのカラスの羽根が。
生きたような黒いオーラをモヤモヤと纏っている。
あれは、なずなの腹に刺さっているものと、パワーストーンの結界に刺さっているものと同じ…!
その羽根をどうするのかって、聞くまでもないだろう。
彼の狙いは、仇と認識している彼女。
予想通り、彼はその羽根を手にして彼女に向けた。
それに気付いた残念な彼女は、体をビクッと震わせて「ひいぃぃっ!」と汚い悲鳴をあげている。
…え?キョドり系?
「…侵し壊せ!魔毒『夢魔』!」
「わわわわわっ!…そ、そ、光流!『結盾』っっ!」



