「あははっ。その時に、総帥から指令を頂いてるんだよね?『次期音宮家当主として、夢見の最高峰、夢殿の侍衛を命ずる』…なんてさぁ?!」
そう言い放ったと同時に、彼は右手をブンッと振り下ろす。
すると再び風が巻き起こり、彼の周りをウヨウヨ浮いていた黒い羽根が一斉に突風に乗って、こっちに突進してくる。
「わっ…!」
狙われてるのは、俺?!
と、思った時にはすでに、その体は捕らえられていて。
黒い羽根が集まり、帯状になったものに体をぐるぐる巻きにされていた。
な、何だこれ!
ま、また俺が捕まった?!
な、何で!
そんな混乱しかかっている間にも、体に巻き付いた黒い羽根の帯をグッと締められる。
途端に胸が圧迫されて、息が詰まるような感覚を覚えた。
「…ほーら?君の大事な主を捕らえたよ?…どうするの?このまま連れて行っちゃうよ?」
彼は小馬鹿にした笑いを止めないで、なずなを見下ろしていた。
なずなを挑発してるのか?…このっ!
それに、何で俺が捕まらなくてはならない!
これじゃあ、なずなの足手まといに…!



