「いやー、懐かしいな。…あ、僕は優さんとは母親同士が師弟関係という間柄で」
「綾小路室長が?…あ、日本舞踊の?」
「おっ。ご存知でしたか。優さんのお母様は現在家元でして。僕の母は、その流派の師範です。…優さんがこの地に来た時、家元から優さんの世話を頼まれまして、僕と優さんは幼なじみとでもいいましょうか」
そうか。度々出てくる綾小路先生、室長のお母様だったのか。
すっきり謎が解けた。
しかし、綾小路室長はまだはにかんで笑っているようだった。
思い出し笑い…?
その様子を黙って見ていると、やがて目が合ってしまい、「…あ、すみません」と笑いながら言われる。
「昔を思い出すと笑いが止まらなくてね?あの三人の珍道中を」
「三人?」
「金持ち御曹司・士朗、大学教授の息子・柊斗、陰陽師・優の青春友情コメディですよ。面白すぎて、小説一冊書けますね?」
「あぁ…」
あの仲良し三人組親父のことか。