「麗華のことをバカにされて、黙ってられないよ?…ねえ、君?あの爆破事件があって、麗華がどれだけ大変な思いしたか、わかる?」



怖いもの知らずな兄貴は、目の前のコスプレお兄さん(…)に堂々と物申し始めた。

麗華さんに傍で「おやめなさい!」と制止されるのも構わず。



「自分たちの事しか考えてなさそうだもん。わかるわけない?」

「…へぇ?僕たちが?何を?」

彼は笑みを作ってはいるが。

自分に歯向かってくるヤツには、目が笑っていない。

でも、兄貴は構わずに淡々と言い放つ。



「…あんた達が勝手に起こした爆発なのに、麗華は、ご近所さんや周辺の関係業者にペコペコ頭を下げて、負傷した従業員の治療費全部払って、何度もお見舞いに行って…」

「頼智、もういいですから!」

「亡くなった従業員のご遺族にだって何度も何度も頭を下げて、その上生活援助やお子さんの学費援助もして、いつも気にかけて…麗華だって社員を亡くしたことに心痛めて悲しいのに、それでも涙を堪えて、責任を取ろうと前を向いていた」