走って傍に駆け寄ると、麗華さんが「あぁっ…」と顔を伏せて、体を震わせていた。
「麗華さん、どうしたんですか?何が…」
「れ、伶士さんっ!私の、私のせいで陰陽師さんがっ…!」
途端に顔を上げて、すがるような目で訴えられる。
麗華さん、珍しく取り乱している。気が動転してるのか。
それに…『陰陽師さん』?
麗華さん、なずなを陰陽師と認識して…!
その陰陽師さんは、地に蹲ったまま、両腕で自分の体を抱えてガクガクと震えている。
「くっ…」と、声を漏らして苦痛表情を浮かべながら。
「…なずな、なずなっ!どうした!」
「…れ、伶士?」
苦痛表情を見せながら、ゆっくりと顔を上げて目の前の俺を見るが。
その途端、目を見開いている。
「…な、何で…伶士、何でここに…」
どこか痛むのか、発される声は小さく掠れている。
ようやく絞り出したような声だ。
「そんなことは今どうでもいい!どうしたんだ!何があった!」
とは、聞くまでもない。
その蹲った姿と痛みに悶える表情。
まさか…。



