その音の行方を辺りを見回して探す。
辺りに窓はない。
そして、目に付いたところは、屋上に繋がる階段の向こうだった。
テラスというデザインのためか、室内の採光のためか、階段を上りきった向こうはガラス張りになっているが。
音と共に…ピカッと光が差し込んでくる。
光?…雷か?
夕焼けが見られるくらい天気が良かったのに?
…な、わけないだろう。
「…兄貴、急ごう!」
傍で突っ立っている兄貴に声をかけ、階段へと駆け出す。
「れ、伶士?!」
「…麗華さんが危ないかもしれない!」
「えっ?」
あの不自然な音、光。
ひょっとしたら、もう事はすでに始まってるのでは…!
だとしたら、陰陽師であるなずなはともかく、何の力も持たない麗華さんがその場に立ち会っているのは危険だ…!
「麗華が?!…待って!」
急いで階段を駆け上がっていると、慌てて兄貴も後を追ってくる。
やはり、麗華さんのことになると、ムキになるんだな。
そんな兄貴を伴って、階段を駆け上がる。



