…しかし、自虐ネタはそこまでにしておいて。
ポーンと音を鳴らして、フワッと浮いたような感覚がした。
エレベーターが目的地である屋上階へと到着したようだ。
着いた…。
扉の向こうには、何が待ち受けているのか。
そう考えると、緊張感を覚えては再び拳をグッと握る。
すると、エレベーターの扉が静かに開く。
足早に外に出るが、そこは何も置いていない床が木目フローリングの薄暗いスペース。
少し見回してみると、奥に階段があった。
…そこから、屋上に出るのか。
このガラーンとした目の前のスペースには、物もなければ人もいない。
恐らく…二人は階段の向こうに。
「…兄貴っ」
行こう。
そう声を掛けようとした、その時。
(…ん?)
どこからかカタカタと音が鳴る。
強風で揺れる窓のサッシのような。
窓…?
強い風が吹いてるのか?
今日は天気が良かったはず。



