状況を判断すると、直ぐ様俺もボタンを押してしまった。
二人も押した、上階行きのボタンを。
「…え?伶士、行くの?」
「………」
兄貴にそう問いかけられ、エレベーターの表示板から目を離さないまま頷く。
…これは、何かある。
このホテルの屋上…確か、屋外テラスだと言っていたような気がする。
しかし、この北国のことだ。冬期間中は雪だらけで閉鎖しているはず。
そんな屋上に、二人揃って何の用事?
明らかに違和感だろ?
そう思い始めたら、止まらない。
気になり過ぎて、もう確かめに行くしかない。
それに…もしもの可能性として、その『何か』に麗華さんが巻き込まれてるんだとしたら、それは黙って見ていられない。
…行く。追いかける。
何が起こってるのか、確かめに行く。
一層の緊張感が込み上げてきて、グッと拳を握った。
すると、音がして、待っていたエレベーターが到着し、ゆっくりとドアが開く。
中へと身を進めた。
「俺も行くー」
「あ、兄貴っ?!」



