俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


状況を判断すると、直ぐ様俺もボタンを押してしまった。

二人も押した、上階行きのボタンを。



「…え?伶士、行くの?」

「………」

兄貴にそう問いかけられ、エレベーターの表示板から目を離さないまま頷く。



…これは、何かある。



このホテルの屋上…確か、屋外テラスだと言っていたような気がする。

しかし、この北国のことだ。冬期間中は雪だらけで閉鎖しているはず。

そんな屋上に、二人揃って何の用事?

明らかに違和感だろ?



そう思い始めたら、止まらない。

気になり過ぎて、もう確かめに行くしかない。

それに…もしもの可能性として、その『何か』に麗華さんが巻き込まれてるんだとしたら、それは黙って見ていられない。



…行く。追いかける。

何が起こってるのか、確かめに行く。



一層の緊張感が込み上げてきて、グッと拳を握った。

すると、音がして、待っていたエレベーターが到着し、ゆっくりとドアが開く。

中へと身を進めた。



「俺も行くー」

「あ、兄貴っ?!」