恐らく、『たくさん人間食わしてやるから着いてこい』みたいな文句を掲げられ、ホイホイ着いて来たんだろう。

肉体ばかりで脳みそも筋肉で出来ているような、単純な連中だ。

どれだけ連れて来た?

色鬼以外に仲間はいるのか?

…だなんていう予想を頭に巡らせながら、この地下階に単身乗り込んできた剣軌は考える。



そう、剣軌は単身でこの地下階に乗り込んできた。

ここに魔族がいることを知りながら。

一人で相対することも、わかっていながらも。



…それは、自らが立てた『作戦』のため。



目的、勝利条件は掲げたが。

実は、その裏に隠された目的がある。

それをも、達成するためだった。



その為なら、自分が多少危険な目に遭おうが構わない。




『…人間が一人で乗り込んでくるとは、我々も見くびられたものだな?』



先程、烈波で吹っ飛ばし転がした萌葱鬼が、そんなセリフを吐きながら、ヨロヨロと立ち上がっている。

やられたくせに、偉そうに。

この手の魔族を見ると、そんなヤツばかりで残念すぎてため息が出そうになる。