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「…烈波!」



潜り抜け、相手の攻撃の隙を見ながら、右腕を刀のように見立てて振り上げる。

風圧は炎に変わり、相手…目の前の敵を襲う。

刃となった炎の衝撃は、敵の体を激しく揺らして転がせた。




ーーー事は、すでに始まっていた。




数分前、ただならぬ妖気の蠢きを感じて、地下パーティー会場の更に地下の階に急行する。

地下の配電室には案の定、明らかに人間の姿ではない者ーー魔族の姿があった。

魔族は、一人。

上背があり、全身ムキムキ筋肉質で人の形には近いが、肌色が濃い緑色。

前頭部から大きく太い角が一本、両耳の真上に細く長い角が、それぞれ一本ずつ。



(萌葱鬼…)



萌葱(もえぎ)鬼。

『鬼』と呼ばれる種族の中でも、力の質から魔族の部類に入るのが、この『色鬼』と呼ばれる者たち。

力の質の他、人間を好んで食することからも、魔族の部類に入れられる事由である。

先の北桜学園の件で出現した、猩々鬼や紺青鬼も、この『色鬼』の部類だ。



この『色鬼』どもは、ヤツが魔界からわざわざ連れてきた仲間で間違いない。