兄貴の話を耳にして、思わず問い返してしまう。

喋り方、親父っぽいって。初めて言われた。

というか、見た目にしろ中身にしろ、親父に似てると言われたことは今までになかったんだけど。

すると、そこで竜堂も「あ、あぁー」と、納得したような声をあげる。

「確かに。先月、ペンタグラムで話した時、橘社長っぽいなーとは思った」

「でしょ?そう思うでしょ?」

「しかし、遺伝子って面白いな。頼智は見た目橘社長そのものなのに、性格全然似てねーし」

「そうなんだよー。俺、いつも親父に怒られるのさ」

「っつーか、おまえお坊っちゃまなのに父親のこと『親父』だもんな。そこは『お父様!』じゃねえのかよ」

「だって親父も自分の親父のこと親父って呼んでるし」



二人の会話を黙って聞いているカタチとなっていた。

しかし、気になったのが。



兄貴、超ご機嫌。

笑顔は笑顔だけど。

いつものように、社交辞令のニュートラルな笑顔ではなく。

本気で嬉しい、という笑顔。



《俺の数少ない友達と呼べる友達。…ひょんなことで出会ったんだ》



…この話をした時と、同じ笑顔だ。