と、いうか。兄貴はどこまで彼らの事情を知っているのか。

北桜学園の魔獣の件も知っていたし。

そう考えると、そっちの事情を不用意に喋ることは出来ない。

うっかり、なんてこともある。様子を見ていかないと…。

そんなことを肝に銘じて、静かにゆっくりと兄貴の隣の椅子に座る。



「伶士、伶士、何飲む?ヨーグルトドリンク?」

「な、何でもいいよ」

「…あ、これ!キウイのヨーグルトドリンクあるよ?」

座るとすぐにメニューを見せては、店員を呼んで早速注文している。

兄貴、いつにも増して今日は元気だな。

何で?



「おまえら、兄弟でも似てねーな」



俺達兄弟のやり取りを眺めていた竜堂が「ははっ」と短く笑って感想を述べる。

すると、兄貴もそれにつられたかのように一緒に笑っていた。

「俺は父似で、伶士が母似なんだよ。見事に!」

「へぇー。性格も?」

「俺と伶士は全然違うけど、まあお互いがそれぞれ部分的に、だよね?伶士はうっかりおっとりしてるところが母さんそっくりだけど、喋り方が父さんっぽかったり」

「…え?そう?」