いったい誰と一緒にいるんだよ、全く。
そう思って、ここからだと小さく見える店内の兄貴の横にいる人の姿をじっと凝視する。
後ろ姿だから、顔が見えない。
誰なんだ。
話し声は聞こえる。
「…っとに、おまえのやり方はどうかと思うよ。何もそこまで自分を犠牲にしなくともな?俺に相談してくりゃ名案のひとつでもどうにかなったろ」
「そうかもしんないけどさ…でも、確実にキメたかったんだ」
「だーかーらって、そのやり方はおまえ自身の損失がデカいだろ。小笠原にだって軽蔑されてよー?」
何か…聞いたことある声だ。
まるで、声優のような色気のある男性のセクシーでキレイな、いわゆるイケメンボイス。
その声の主に思い当たる点がみるみると頭に浮かんできたところで。
急に兄貴がくるっと振り返ってこっちを見る。
見事にバチっと目が合ってしまい、ビックリして心臓が跳ね上がったような気がした。
「…あ、伶士!…おーい!」



