好き過ぎるとか、必死とか、恥ずかしいよね。照れるよね。そうだよね…。
俺も何の恥じらいもなく…。
何だか妙に恥ずかしくて、熱くなった顔をついつい背けてしまう。
…だが、またしてもヤツは俺の隙を見ては、今度は壁ドンの左腕をそろっと潜り抜けようとする。
なっ!…いい加減観念しろ!
右足と入れ替え、今度は左足でヤツの退路を断つ。壁ドン左足の巻。
またしても、目の前に突然出てきた左足に、ヤツは「わわわっ!」と、驚愕の声をあげる。
「な、なっ、何で邪魔するのさ!」
「…なぜこっそり立ち去る!一声掛けるぐらい出来ないのか!」
「だ、だって逃してくれないじゃんっ!わ、私、心臓バクハツしそうだ!」
「…心臓はそう簡単に爆発しないぞ!逃げるからこっちもムキになるんだよ!」
「わ、わ、わかった!わかったから!…に、逃げないから!で、でも今は逃がして!」
「…どっちだ!」
二人でエンドレスな押し問答が続いている。
いつ終わんの?と、言いたいところだが。
この攻防の幕引きは、俺には不都合なカタチでやってくるのだった。



