「だ、騙し打ちっ…」
「『好きだ』言ってるのに、逃げるヤツどこにいんだよ!だから逃がさないようこっちも必死なんだよ!…おまえのことが、好き過ぎるから!」
「えっ…」
「俺だってめちゃくちゃ必死なんだ!偶然にもこうして会え……」
必死に反論していたが。
なずなが次第に俯いて、しゅうぅぅ…と花が萎んだかのように勢いが無くなっていることに気付く。
ど、どうした?大魔王のくせに。
…とは、言うまでもない。
「お、おまえ…」
俯いたままボソッと呟くなずなの声は、ちょっと震えて涙声だ。
「ど、どうした」
「そ、そんなに、好き好きって言うなよ…」
「は…」
あ…。
ああぁぁっ!
アツくなって勢いづいてしまっていたが。
冷静になって自分の吐いたセリフを思い返してみると…ああぁぁ、俺、かなりぶっちゃけた恥ずかしいことを!
「………」
結果、俺も勢い死ぬ。
「………」
「………」
また、その結果。
二人の間には、気まずい異様な沈黙が流れていた。



