俺のその一言で、ヤツは途端に顔色を変える。
手を押し返す力が、ふっと弱まった。
そして、ボソッと呟く。
「…んで」
「は?」
「…何でそんなに急かすんだ!おまえは!タチの悪い闇金の取り立てのようにいぃっ!待っててくれるんじゃなかったのかぁっ!」
「待っててやるけど、忘れられてたら困るんだよ!何回もLINEしてんのに、大体いつもスルーされてるからな?!…一目会ったら言ってやろうと思ってたんだ!」
「だからか?!だからって、いつもシマッピ先輩の写真送信してくんのか!精神的にいたぶりやがってぇっ!…おまえ何したいの?!ねえ、何したいの?!」
「精神的にいたぶってるつもりはねえけど、こういう性分なんだよ!」
「…こういう性分?!…おまえ、だいぶ性格変わったな!大人しいポケッとうっかり王子様が、よくいる強引せっかちおばちゃんみたいになってんじゃんかよ!」
王子様からおばちゃん…だいぶ変身したな。
「…おまえみたいなの相手してると、こういう性分にもなるわ!騙し打ちして逃げるからな?!」



