だが、目の前のお嬢さんは、俺のしつこい引き留めにいい加減ご立腹のようだった。
「…むきーっ!…何でそんなにしつこいお坊っちゃまなんだよ!まだ何の用さ!今じゃなきゃダメかいぃぃっ!」
キッと目を釣り上げて、顔をわなわなと引きつらせている。
わっ。怒った。久々に大魔王っぽいぞ?
こわっ。…とは思うが。だからといって怯むことはなく。
もう段々慣れてきた感がある。
…と、思ったが。
「…このっ!…伶士いぃぃっ!」
ハッと気付いた時には、もう遅い。
目の前には指先が。
これは…!
「…うわっ!」
「…このっ!…伶士のくせにっ!…この私に壁ドンするなんざ、いつからそんなに偉くなったんだ!…この、伶士いぃぃっ!」
デコに鈍痛と後ろに反り返るぐらいの揺れが…!
次々にツンツンツンツンと!デコツンの刑!
ヤツの指先が、俺のデコを連続で襲う。
その度に頭がぐらりぐらりと…ああぁぁっ!これはいつまでたっても慣れるもんじゃない!
このままじゃ、指先一つでダウンさせられる!



