挙げた手が自信なさげに、ワキワキと上げたり下げたりしながら、恐る恐ると質問している。
しかし、そこでも剣軌はにこやかに丁寧に回答していた。
「それはね、我々が結界張って隠しておいたから。でも作動開始となると、結界張ってもどうしてもパワーストーンの術力でバレちゃうんだよね。だから、ヤツらもそこを狙っているんじゃないかと思う」
「そ、そうですか」
「ったく、くだらない質問すな!」
「ご、ご、ごめんなさい夏輝…どうしても知りたくて」
「いいよいいよ。疑問を解消し理解してこそ効率良い仕事が出来るから。夏輝、あまり桃李を怒らないでやって」
「いや、剣軌さんがそう言ってくれるなら、いいんですけど…」
彼女へのキツイ一言をやんわりと注意され、夏輝は渋々とその口を引っ込めるが。
こんなくだらない質問にも笑顔で答えてくれるなんて、何て懐が深いんだろう。
と、思いきや、剣軌は別に桃李に対して苛立ちを感じることはないし。
何たって、彼女を萎縮させては戦況にプラスにならないことを知っているのだ。



