「パワーストーンは術力をもって『気』の流れを変えることが出来る。そのポイントに置いて作動させれば『紫の門』が容易に開くことを防げるんだ」
「へぇ…本来の使用目的である力の増幅以外にも、そんな使い道が」
変に感心させたところで、話にはまだ続きがあった。
「…たぶん、それがヤツの勘に触ったんだろう。ヤツはわざわざ敵陣の懐に潜り込んで、こんな事をしてきた」
剣軌はそう言って、タブレット端末の画面を指差す。
黒い羽根に溺れたスイートルームの写真を。
「…これは、宣戦布告だ。我々に対しての。…面白い。受けて立とう。我々もリベンジの機会を与えられた」
三年前の『紫の門』を巡る事件では、伏線に気を取られ、こっちの対応に間に合わず。
一般人の犠牲者を出してしまった。
伏線の方でも、大事な仲間を失った。
『事変』そのものは敵を壊滅に追い込んで勝利というカタチを取ったが、この件に関しては、こっちの完全敗北ともいえる。
それは、決して忘れてはならない。



