しかし、魔族は人間を喰らうために是が非でも人間界に足を踏み入れたがっているのが現状。
…そこに付け込んだのが、半人半魔集団の『マントラ』。
この人間界に魔族を引き入れて、この世界に住む人間達を排除し、自分たちの世界を作ろうと目論みを達成するため、『マントラ』は、何らかの伝で、この『紫の門』を開く術式を知ってしまう。
そして、まずはこの地札幌に、やがて世界各地に『紫の門』を開通させようとした。
『紫の門』は、地脈、水脈からなる自然の『気』の流れを避けて、邪気、妖気の交わりやすい箇所に自然発生させやすい。
その数少ないスポットのひとつが、ここ、オガサワラリゾートのホテルが立地された場所だった。
「奴らは、またここの『紫の門』を復活させようとしてるワケ」
「そういうこと。ここは比較的邪気の交わりやすい場所で、『紫の門』を開きやすいポイントだったからね。成功体験も有りき。…でも、先手を打ったから奴らは怒ってる。逆にケンカ売られたと思ってるんじゃないかな」
「先手?」
剣軌は頷く。少々含みを持った悪そうな顔で。



