「さ、さ、さすが、おがさわらさん。か、可愛いお菓子ありがとうございますぅ…」

「桃李ちゃん、食べよ!早く食べよ!」

「ま、待って待って。なずちゃんが戻ってきてからにしよ?なずちゃんだって映えー!って写真撮りたいかも…」

「もぉーなず姉、どこ行ったのぉー!」


トゥンカロンを前にはしゃぐ女子二人。

一人は美少女で愛らしい顔をしているが、二十歳という年齢の割には、童顔でどことなく子供っぽい。

本日は、黒いサテンの膝丈バルーンワンピースを着て、髪を緩くアップに纏めて大人の雰囲気を少しばかりか出しているが。

彼女の名前は、神田桃李。

陰陽師の総帥を曾祖母に持つが、彼女自身は陰陽師の教育を受けていない、一般人。

しかし、とある騒動があって『守護神』と契約せざるを得なかったという事情を持つ『神童』である。


もう一人の女子は、硯真凛(すずら まりん)。

この春より高校生という、『神童』の最年少。

真凛自身は一般人だが、2歳の時に亡くなった父親が陰陽師であり『神童』だった。

しかし、真凛も霊力が膨大なものだったため、僅か2歳で守護神契約をせざるを得なかったのである。