「だって、勘鈍ってたら困るじゃん。良い仕事出来ないじゃん」

好戦的なヤンチャ坊主のくせに、良い仕事?

ヤンチャなのか真面目なのかわからない発言に、失笑が苦笑いになってしまいそうになったのは言うまでもない。

「…まあ、そんなに気張ってるのは夏輝だけで、君の主は超リラックスしてるけど?」

「…何っ!」



哲太が指差した方向は、特注の大きなテーブルの周りでスマホを持ってはしゃぐ女子二人だった。



「何これ何これ超可愛いー!可愛いマカロン、キュンです!」

「真凛ちゃん、これはトゥンカロンっていうんだよ?」

「へぇー!マカロンじゃなくてトゥ…うーん。ま、可愛いからいいか!ねえねえ、このトゥーなんとか、フランスにもあったの?」

「トゥンカロンは韓国発なんだよ?」


特注の高級感溢れるテーブルに置いてあるのは、大きいガラス皿に乗った色とりどりのお菓子たち。トゥンカロン。

書き置きのカードもあることから、このホテルの令嬢、麗華の差し入れのよう。

カラフルでデコラティブなお菓子は、女子二人のハートをガッチリ掴んでいたようだ。