「…このホテルは、その亡くなった従業員さんがプレゼンするはすだった企画を麗華さんらが詰めて形にしたものだって聞いてる」

「……」

だから、遺族がセレモニーに…。


麗華さんとその遺族である姉妹の姿を、改めて見つめながら思ってしまう。


麗華さんは、容姿端麗で令嬢で、学生ながら家業の経営にも携わって、側から見たら輝かしい憧れの存在かもしれないけど。

でも、上に立つ者としての責任だとか、他人に見せない部分は実は輝かしいとか華やかとは全然かけ離れていて、血が滲むような思いをしているんじゃないかって。

でも、辛そうな素振りなんか見せずにいて。


「…あっ!頼智さん!こんなところで会えるなんて!きゃっ!」

「お、久しぶりだね鈴ちゃん!」

「ひょっとしてこの後のパーティー出る?夜どう?」


ふと見ると、兄貴がドレス姿の女性と話している。

あの人は…この付近にあるデパート会社のご令嬢さまだ。



とりあえず、うちの兄貴とは大違い…。



我が兄ながら、チャラつくその姿にはため息が出た。