「笑わないよ」
真剣な顔をしてほのちゃんは言った。
「こんなこと本当は言いたくないけど、小春はいっくんに告白されて気持ちが揺れてたよ。」
「まさか」
そんなわけない。小春ちゃんの瞳には久遠しか映っていないはずだ。
「少なくとも私にはそう見えたよ。
ねぇいっくん、お願いだから自分を貶めるようなこと言わないでほしい。
絶対にいっくんを恋愛対象として見てる人はいると思うの。」
最後の一文には熱がこもっている。
けど、傷心中の僕にはそうとは思えない。「ありがとう。本当にいるなら名乗り出て欲しいよ。」
半分冗談で言ってみると
「…は……けど…」
ぼそぼそとほのちゃんが呟いた。
「何?」
「わ、私はそういう風に見てるけど…」
そっぽを向きながら答える。
そういう風って恋愛対象として……??!
急な告白(?!)に狼狽していると
「ほのっち、ここにいたんだ〜。」
「あぁ、のりか!」
はぐれてしまった友達に会えたようだ。
「じゃあ行こ!」
「…っ!うん」
ほのちゃんは名残惜しそうにこちらを振り向いたけど友達について行ってしまった。
僕の失恋の記憶は、想像もしていなかった展開を迎え幕を下ろした。