夜色、線香花火



線香花火、どうしたらいい?わからなくて、とにかく、握りしめる。




「結実がおれのことをすきでありますように、って」




すきになりますように、じゃ、なくて。


わずかに望みがあるって、思ったってこと?


もしかして、あたしの気持ち、ほんとは。


「知ってたの?」

「……」


あたしを見る慎太郎の目が、月明かりを吸収して、きらきらしてる。


「さあどうでしょう」


……ほんと。そういうところだよ、慎太郎。


「ねぇ、もういっかい、線香花火しようよ。今度はあたしも、願いごとするから」

「いいよ。はい」


たぶん慎太郎、あたしがこうやって言い出すこと、見抜いてた。もうすでに準備されている、線香花火ふたり分。