私たちは生活室へと移動するため、誰も居なくなった廊下を歩いていた。
「な、なぁ小塚」
その途中で、いきなり雅人がためらいがちに私の名前を呼んだ。
その姿は、まるで後ろめたい事でもあるかのように、少し俯き気味で。
「あのさ…」
「ど、どうしたん」
少しの静寂が廊下に居座り、いつの間にか私たちは歩みを止めていた。
その重い空気の中で、雅人は意を決したように口を開いた。
「自分の、無責任な言葉のせいで、人の事を傷付けちまった時ってさ。それ、どうすりゃ、良いのかな」
「…えっ」
普段、強気な口調ばかりの雅人から漏れた、か細い声。
今にも壊れて消えてしまいそうなその声は、助けてと強く叫んでいるようにも聞こえて。
その唐突すぎる出来事に、一瞬は頭が真っ白になるくらい戸惑った。
雅人に何があったのか、詳しい事は分からない。


