「社交界の男性達の間でもヴァレンティーナ嬢はよく話題にあがりますよ。
若くて美しくて家柄も申し分無いとね。」

「光栄ですわ。」

「いつ他の男に取られるかいつもヒヤヒヤしているよ。
君は本当にモテるね」

あたかもヴァレンティーナはもう自分の物だというような口調に苛立ちを覚える

「ラインハルト様こそ、令嬢達の間では随分人気のようでしてよ。
貴方とお付き合いされる方はさぞかし大変でしょうね」

貴方と結婚するのは私ではありませんよ。と暗に込めた言葉に父親であるレガート伯爵は顔を引き攣らせる


「ま、まあ、まだ知り合って短いですからね…。これから仲を深めていってくれたら父親としては嬉しい限りなんですがね。」

そう言うと伯爵は思い出したように余計な一言付け足した


「そういえばちょうど港の方で祭りが催されてるようだから2人で覗いて来てはどうかね?」