テテュスの箱舟

ヴァレンティーナはレッドの腕を引き、

「さあ、寝ましょう!レッドさん」

ベッドへと引きずり込んだ

「…はぁ、もうお前なぁ…」

したり顔のヴァレンティーナとは対照にレッドは一抹の不安を覚える

彼女は自分の置かれている状況が理解出来ていないようだ

「狭いですか?ごめんなさい」

すっと端に詰めるヴァレンティーナを軽く抱き寄せ、腕の中に収める

ふわりと上品な香りが鼻先を擽り、脳裏に過ぎる劣情は深呼吸して消し去る

「いや、気にするな。だからさっさと寝ろ」

「ふふ…、分かりました。おやすみなさいレッドさん。」

腕の中で彼女の小さな唇が動き、吐息が触れる
これ以上理性が揺さぶられないように、とレッドは目を瞑り、早く寝るように務めた