テテュスの箱舟

体熱はすっかり冷めて、眠気が襲う

「ふぁ…、レッドさん、そろそろ寝ませんか?」

淑女にあるまじく、欠伸をしながら誘うとレッドは例によって断る

しかし今日ばかりはヴァレンティーナも譲る気は無かった

「同じベッドで寝れないと言うのなら私が退きます。
貴方が使ってください。」

「駄目だ。」

頑なに拒絶するレッドに少しばかり苛立ちを覚える

「もうっ、レッドさんは頑固過ぎです。
そんなに私と寝るのが嫌ですか?」

頬を膨らませて怒るヴァレンティーナにレッドは頭を抱えた

「あのな、あんたお嬢様だろ。
何処の馬の骨かも分からん男と寝ようとするんじゃない。」

悪評が立つぞ、と警告をうけるが

「そんなの知ったことではありませんわ。」