テテュスの箱舟

「すっかり濡れてしまいましたわね」

レッドの船室に戻ると体から落ちる水滴を拭う
雨に打たれたのはほんの短い時間だったが、それでもヴァレンティーナの髪には雨水が染み込んでいたようだ

「ヴァーリャ、濡れたままだと風邪ひくぞ。新しいの貸すから着替えな。」

彼はシャツを手渡し、サッと後ろを向く
ヴァレンティーナはレッドのこういった配慮ができる所に好感を持っている

本当は湯浴みでもしたいところだけど、ここでは贅沢言えないわね。

レッドを見やると濡れた服を着替えようとシャツを脱ぎ、鍛えられた上半身が顕になっている

湿った皮膚にランプの淡い光が反射して艶かしい

レッドは直ぐに乾いたシャツを羽織ったが、箱入りの生娘ヴァレンティーナには刺激が強く、慌てて目を逸らした