「まあ、宜しいのですか?」

顔を上げ、パッと笑顔を見せるヴァレンティーナ

一見、文句一つ言わず海賊船での生活に馴染んでいるように見えるが、そろそろ貴族の生活が恋しくなっている頃かもしれない

あの豊かな土地と港を持つ領主の娘であるヴァレンティーナだ、望めば何でも手に入ったはずだ

「クォーツ港でなら少しは安く手に入るかもしれん」

「クォーツ伯爵領ですわね、とするとこの船は北西へ向かってるのかしら」

「ああそうだな。ガルニエに向かいながら幾つか港を経由する航路をとってる」

地理学に詳しいのか、それとも令嬢教育の一般的な水準なのかレッドには分からないが、ヴァレンティーナはそれなりに学があるようだ