「美しいな君は。僕の為にお洒落してくれたと思ってもいいのかな?」

「もちろんですわ。今日が待ち遠しくて夜も眠れませんでしたの」

にっこりと微笑んだままヴァレンティーナは返す

ティーカップを片手に微笑みかけるラインハルトは相変わらず華々しい美貌で、令嬢達が沸き立つのも頷ける

「大公爵殿下にうちの娘を選んでいただけるとは光栄です。」

レガート伯爵は娘を褒められて嬉しそうな父親を演じて居るが、まだ溺愛する娘を手放したくないようで度々思い出したように寂しそうな表情をしている

「ヴァレンティーナ嬢はおいくつになられたんでしたっけ?」

「この夏で17になりますの。」

この国での女性の結婚適齢期は10代後半から20代である
ヴァレンティーナも16歳の誕生日に社交界デビューしてから幾度か男性に声をかけられることもあった

時には一回り以上歳の離れた伯爵から誘われたこともあり、ギョっとした覚えがある