自室で航海の記録を執筆していたレッドはほんのりと香る花の匂いと、近づいてくる足音に顔を上げる

ヴァレンティーナか?

扉を開けるとやはり彼女が立っていたので部屋の中へと招き入れる

茶器を手に、にこやかに彼女は告げる

「ティータイムに致しましょう!」

「紅茶か?」

「カモミールティーですわ。ご存知かしら?」

途端、レッドは幼い頃を思い出す
白い花弁に黄色い中心部が膨らんだカモミールが一面に咲き誇る景色をレッドは知っていた

懐かしい記憶だ

「カモミールは知ってる。お茶にして飲めるんだな」

「ええ、安眠効果がありますの。」

どうやら彼女はここ最近の寝不足を心配して行動に出たようだ