ゲームも終盤

ヴァレンティーナは口元に手を当て、しばし思考する

そして徐に手を伸ばしナイトを前進させ──そして宣言する

「チェックメイトですわ。」

そのあまりにも優雅な一連の仕草に、横で見ていたジークは勿論、勝敗の行方を確認しに来たコニー、そして終始難しい顔をして深考していたカートでさえも魅入ってしまった

そして止まった時が動き出すかのように、皆ハッとして次に言う言葉を探す


「…お見事。まさかあの盤面から返されるとは」

「すげーよ、ヴァーリャ嬢!」

コニーに至ってはヴァレンティーナの肩にそっと手を置き、

「お嬢…」

よくぞ雪辱を果たしてくれた、とでも言いたそうな顔をしていた