テテュスの箱舟

「気持ちは嬉しいが、お嬢には頼めんわ。
代わりにジークに水汲んでこいって言って来てもらえるかい?」

「わかりました、お伝えしますわ。」

この船に乗ってはじめて人に物を頼まれたことにヴァレンティーナは張り切って甲板に繰り出した


「お、ヴァーリャ嬢。
何か用かい?」

ジークはひと仕事終えて休憩中の様で、船頭の方で日向ぼっこしていた
時折吹くひんやりとした海風にジークの髪が揺れてとても気持ちよさそうだ

「コニーから伝言よ。
貴方にお水汲みをして欲しいって」

「うえ、まじかよ。」

げんなりとした表情のジーク

「あの、大変でしたら少しお手伝いしましょうか?」

「有難いけどお嬢が力仕事するの多分レッドが許さないからな」

見るだけなら良いぞ、とジークが言うので取り敢えず着いていくことにした