初めて呼んだはずの呼び方が案外しっくりくるのに驚いたが、これまでの冒険譚や、彼女の家族の話など、お互いの話をするうちに、すっかり彼女の虜になっていた

「それでその時船長が…」

スゥスゥと小さな寝息が聞こえてきて話を止める

「寝たのか…」

貴族の令嬢らしく上品で大人びた振舞いをする彼女だが、寝顔は年相応のあどけなさを残しており、庇護欲を唆る

フッと微笑んでその華奢な身体を抱き上げ、自らの船室へ向かうのであった