夕陽が海のかなたに沈むころ、宴が始まった

普段から陽気な船員たちが更に熱気を上げ、祭り騒ぎだ

「皆さんどうぞよろしく。
ヴァーリャと申します。」

新しい仲間のその少女は上質な身なりで如何にもなお嬢様だった

「うおおおおお!」
「お嬢ちゃん結婚してくれ!」
「何を言う!俺の嫁だ!」

困惑する少女を置いて、船員たちは勝手に盛り上がる

「おいおい、お前ら落ち着け。このお嬢ちゃんは駄目だ」

「なに、まさかもう手を出したのか船長?!」

「なんだよ、船長ばっかり狡いよなぁ」

口々に文句を垂れながらもあっさりと引く海賊達
この船の決まり事には逆らえないからだ

「俺じゃ無いぞ。なぁ、レッドよ」

意外な言葉を口にしたターナーは麦酒を片手にニヤニヤと若頭に目配せをする

ジークとは同年代のレッドはジークよりもずっと前からこの船で暮らしており、次代の船長との呼び声が高い